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農的暮らしの永久デザイン

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自然環境の中に溶け込む暮らし。

家などの建造物と周辺の自然環境を切り離すことなく、農と食、景観と文化が一体化したライフスタイルを提案する、パーマカルチャーという学問があります。

パーマカルチャー[permaculture]とは、オーストラリアのビル・モリソン教授が提唱した、人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことで、permanent[恒久の]とagriculture[農業]あるいはculture[文化]を組み合わせてつくられた造語です。

このパーマカルチャーについて深く学ぶため、2008年のGWに、当時国内で唯一パーマカルチャーを実践されていた三重県のあるご夫妻のもとで3泊4日のファームステイをさせていただいたことがありました。日本の原風景ともいえる棚田や鎮守の森が残る、三重県の志摩磯部での記録を今回改めて綴ってみたいと思います。 (話は今から5年前に遡ります)


ご夫妻はパーマカルチャーをオーストラリアで学んだ後、帰国してからはまず土地選びにかなりの時間をかけられたようで、ようやく見つけたのがこの高台。


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高台から下を見渡すと、棚田に鎮守の森という、日本の原風景が残る豊かな環境が広がっていました。



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また、周囲を竹林や広葉樹の小さな林に囲まれた高台は、多様な生物群に住処[すみか]を提供し、自然の力を引き出す農業を行うには最適な環境といえます。



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実りの季節を迎えたエンドウマメ。


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カマキリのサナギでしょうか。
庭の捕食者である肉食昆虫のカマキリが生息できる、豊かな生態系が形成されています。



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ファームステイでは、基本的な農作業(畑全体の設計図に従って育苗された野菜や果物の苗を畑に植えたり、土づくりをしたりといった作業)を体験させていただいたのですが、早朝に採った筍は、この日の夕飯の具となり食卓に登場。
採れたての自然の恵みを使ったおいしい料理を頂いた後には、日本酒で一杯やりながらパーマカルチャーや有機農法のノウハウを教えていただき、ご夫妻には大変お世話になりました。

お酒の席で伺った話では、こちらの住まいでは、屋根に設置したパネルで吸収した太陽熱を風呂を沸かす熱量として利用したり、バイオマストイレでは微生物の力を活かした排泄物分解を行い、堆肥(コンポスト)化し、畑の肥料として活用するなど、様々なエネルギー資源の循環システムが構築されていて、非常に理にかなった生活スタイルを確立されていました。

自然と文化の共存について一つの良いモデルケースを持ち帰ってこれたと思っています。



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        *      *      *


古代ローマの人々は、大自然の中での生活に不便を感じ、都市を築き、森林を資源や土地の資産として活用するために木々を伐採し続けてきました。

近代になり、産業革命の爆発的な発展に伴い都会から緑が消滅すると、今度は郊外の自然環境が豊かな景観を求めて人々は移住するようになりました。
移動手段が確立されたことで、都会と大自然を行ったり来たりすることが当然のようにできる時代になったのです。いわば、都会と自然の好いとこ取り、しかし自然を知らない都会の人々が理想郷[ユートピア]を期待してそこを訪れてみると、やはり自然の厳しさを知ることになります。


こうした過去の教訓から学び、自然と文明の絶妙なバランスを確立できるだけの智慧を私たち人類が身につけることができれば、自然と文明が共存する持続可能な新たな時代の幕開けとなるかもしれません。

我が家の自然農法 最終章 〜自然の力を引き出す〜

前記事、[我が家の自然農法 その② 〜窓際の小さな生態系〜]の続編です。


最近、我が家の自然農園が賑やかになってきました。
シマミミズ、ヒメミミズ、オカダンゴムシ、アリグモ、オカチョウジガイ・・・


先日、ふと畑にキアゲハが舞い込み卵を産んでいったと思ったら、
その幼虫は瞬く間に成長しサナギから蝶になって羽ばたいていきました。


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イモムシを見ると不快になるという方も多いかもしれないですが、
そんな不人気の理由は、見た目の毒々しさだけではなく、
彼らの生命力の強さにもあるのかもしれません。


イモムシたちの驚異的な成長力

金柑やミカンの木に1mmほどの黄色い小さな卵を見かけたことはありませんか?
アゲハチョウの仲間は、植物を選択して卵を産むことが知られています。日本で最もメジャーなナミアゲハやクロアゲハなどの種はミカン科の植物のみに卵を産みつけ、キアゲハはセリ科の植物にのみ産みつけます。移動能力が低く自らエサを探すことが苦手な彼らが、移動範囲内にまとまった餌を確保するための戦略だといわれています。

単種の植物の葉しか食べられないかわりに、彼らが進化の間に身につけた能力
それは、栄養を余すこと無く吸収する驚異の消化システムです。

彼らのみが持つ消化酵素により、その栄養のほとんどを体の成長に利用することができるので、一日で体重が5割増すこともしばしばあるといわれます。



植物たちの静かなる抵抗

イモムシに食べられる植物からしたら、イモムシの存在は大迷惑。
でも、こんな憂うべき事態を植物たちも黙って見ているわけではないようです。
イモムシの唾液の成分を感知すると、ニコチンやタンニン、アルカロイドなどの苦く刺激のある成分を葉に溜め込んで直接反撃に出ます。

さらに、イモムシの天敵となる昆虫と契約を結び、彼らが好んで寄ってくる青葉アルコール(みどりの香り)やインドール(甘い香り)、テルペノイド(シナモンやクローブ、ショウガの風味のもと)を分泌し、「救援部隊」の到着を静かに待っているそうなのです。救援部隊からすれば、香りを嗅ぎつけて現地にいけば無条件で餌がもらえるのだから、おいしい話です。

実際、我が家のイタリアンパセリを食していたキアゲハの幼虫も気がつくと数匹間引かれていました。これもフェロモン効果なのでしょうか。
以前、ブナの木が自らのドングリを好んで食す運び屋ネズミの数を、ドングリ内の毒成分で調整しているという話を聞いたことがありますが、植物の生存戦略とは実にしたたかなものだと感じます。


    *     *     *

こうして見てくると、自然のバランス調整機能は長い進化の歴史の中でやっと確立されて今に至る一つの安定型なのだと感じます。
はじめからイモムシが消化システムを持っていたり、植物がフェロモン対策システムを持っていたことは考えにくいです。おそらく、長い歴史の中で地道に少しずつ身につけてきたのだと思います。

やはり、わたしたちにできるのは、
このバランス調整機能がはたらきやすい環境をつくることだけなのかもしれません。

我が家の自然農法 その① 〜家庭菜園にあると便利な作物〜

「自家製」ライフスタイル、最近増えましたね。
以前、スペンドシフトという著書に、経済や雇用の不安が伴う現代、人々はモノを消費する方向から自ら創造する方向へ価値観が移行しつつある旨が指摘されていました。


  • 自分でできるものはできるだけ自分で
  • 時間をたっぷりかけて、そのプロセスの物語を楽しむ

決して派手ではないけれども、こうした「生活を味わう」スタイルは着実に広まっているように感じます。「家庭菜園」もその一つ。

そして、せっかくやるなら、無農薬で安心、新鮮で旬な食材、食卓をオシャレに彩る便利な食材をつくりたい。そう思う人も多いでしょう。

我が家では、「自然農法」にこだわった家庭菜園づくりを実践しています。
さっそく、トマトが収穫できそう。


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今の住まいに越してきてから約半年の間に数々の失敗もしましたが、その中であると便利な食材がなんとなくわかってきました。我が家の自然農法の第一話では、そんなオススメの食材をとりあげてみます。



  • 葉ネギ: まとめて使う用途がなかなかないので、少しずつ庭から調達できるのは便利。
        → 生育旺盛で切っても生えてきます。みじん切りを乾燥させて保存性アップ。
  • パセリ: すこし添えつけるのに1本あると大変便利。二年性なので越冬します。
        → イタリアンパセリは味や香りは同じで、見た目のオシャレ感が増します。
  • バジル: シソ科。トマトとの相性が大変良い。主にイタリアンでパスタやピザに。
        → 細かくしたバジルをオイルやにんにくと混ぜバジルペーストとして保存も。
  • 大葉(シソ): こちらも、和のハーブとして大変重宝します。背丈は1mにも。
        → 添え付け、キムチ等との相性も良い。お酒に漬け込んだり用途は様々。
  • 山椒: こちらも山林に自生するハーブ。鰻や筍御飯や煮魚などの添え付けにgood。
        → 生育は旺盛で、一度アゲハの幼虫に丸裸にされたが、1週間ほどで萌芽。
  • 唐辛子: 一度大きくなると大量の実(鷹の爪)を付けます。水切れに注意。
        → 麻婆豆腐やパスタ(ペペロンチーノ)などに使えます。
  • 月桂樹(ローリエ): クスノキ科。香辛料の一つでカレーなど香り付けに使用。
        → 木本(樹)でありながら、生育は非常に早い。1本あると重宝する。
  • ミニトマト・トマト: 生育力が強い。ミニトマトは連日収穫できる。
        → 元々アンデス山脈育ちで、水切れに強い(水を切らすことで甘くなる)


これ以外にもまだまだ数えきれないほどありますが、改めてこの場で紹介したいと思います。


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次記事、[我が家の自然農法 その② 〜窓際の小さな生態系〜]に続きます。




島根〔石見銀山〕視察の旅2012 〜まちおこし編〜

2012年のGWに夫婦で視察に訪れた、島根県・石見銀山のまちおこし編〔後編〕です。

前編、『島根〔石見銀山〕視察の旅2012 〜文化・歴史編〜』はこちら


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JR岡山駅から出雲まで、特急列車「やくも」で揺られること3時間。
さらにそこから電車やバスを乗り継いで2時間ほど山奥へと入っていくと、ようやくそこには石見銀山はあります。

この山奥の集落に果たして人は来るのだろうか。
そんな思いを抱きながらも、何か光るものがそこにはあると信じて、私たちはその地に向かっていました。


石見銀山の二つの街には、いまでこそ500名近い住民が生活しています。
しかし、一時は過疎化に歯止めがかからない事態に陥り、銀の産地として一世を風靡した当時の面影はなくすっかり廃れてしまったことがあったそうです。

そんな中、なんとかこの街の持つ魅力を発信したいと立ち上がった有志により、古民間の町並み復興からスタートした取り組みは、今では田舎のライフスタイルの提案という形で、都市部の生活者の間で受け入れられるようになっています。



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民家の中、人間と生活の場を同じくするツバメたち。
店内には、「ツバメの落とし物にご注意ください」という触れ書きがありました。


店の入口から中を見渡すと、奥にまぶしく光る新緑が目に飛び込んできます。



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懐かしい縁側の風情。風鈴の涼しげな音色が風に乗って通り過ぎていきます。
季節に応じたしつらえによって、空間は大きく様変わりします。



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木漏れ日が差し込むカフェでの静かなひととき。
この土地ならではの梅を使ったメニューをオーダーしました。



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その昔、病と隣り合わせだった銀山の坑夫が梅の薬用効果に着目し頻繁に食していたことから、この土地にはいまでも梅を使ったレシピがいくつか存在するようです。




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島根滞在最終日の14時、2日間滞在した石見銀山を後にするとき、長い夢から覚めるような心地がしました。

ここに来る人たちは、私たちも含め
日常生活では決して味わえない、見られない、体験できないことを求めて
はるばる山奥までやってきているのだと実感すると同時に、
どこか懐かしい、追憶の景色を呼び覚ます力がこの土地にはあるように感じました。


今、私は商品企画を通じて「モノ」の持ち味を引き出すことを理念として活動していますが、いつの日かこうした土地やコミュニティの持ち味を引き出す仕事に携われるならば、その土地だからこそ輝く魅力でそこに住まう人も、外からやってくるゲストも双方気づきを得られる、自分らしさを取り戻せる、そんな場を築くことができたらどんなに幸せかと思います。

島根〔石見銀山〕視察の旅2012 〜文化・歴史編〜

今年のGWは、以前から夫婦で気になっていた島根の奥地、石見銀山を訪れました。

後編、『島根〔石見銀山〕視察の旅2012 〜まちおこし編〜』はこちら


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石見銀山といえば、国内最大の銀山(現在は閉山)であり、2007年に産業遺産としてはアジアで初めて世界遺産に登録されたことで有名ですが、世界遺産に登録されるずっと前から景観を保存し田舎のライフスタイルを発信するべく、人口500人の小さな村で人々が一丸となって街おこしを行う取り組みを、一度この目で見てみたいと思っていました。

銀山を訪れてみて、まず感じたのは緑の多さ。そして、苔のむした岩々が古い武家屋敷や古民家に溶け込んだ景観でした。



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人により作られた作為的な自然ではなくて、長い時間をかけて少しずつその土地に馴染む植物が根を下ろしてきている。産業の発展と両立してそうした景観を残してきたことこそ、石見銀山が世界遺産に選ばれた大きな理由だと感じました。


現地に住んでいる方に聞いた話では、当時の坑夫の労働環境の過酷さは並々ならぬものだったとか。

「間歩(まぶ・坑内)に一度入れば、10年まで」、俗説では「3年持たない」といわれ、坑内に充満する有毒ガス、煤、粉塵(酸化鉛とされている)により気絶えをおこし、坑夫の健康状態は深刻だったようです。平均寿命はおよそ30歳程度という記録も残っており、家族構成も独身または夫婦のみが多かったといいます。

銀外交のきらびやかな歴史とは裏腹に、厳しい労働犠牲の歴史がそこにはありました。


それでも、石見銀山は世界産出銀のおよそ3分の1(1万貫・約38トン)を占めた時期もあり、領土は100の村々からなり、人口も20〜30万人いたとされる栄華を極めた時代もあり、その歴史と文化が景観の中に息づいているようでした。



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日もだいぶ傾きやさしい木漏れ日に包まれると、静かな時間が風とともに通り過ぎます。
この何とも心地の良い空間に身を置き、心の声に耳を研ぎ澄ませたとき、人が本当に求めているものが何であるのかが見えてくるような気がします。

石見銀山の地が醸し出す独自の風情は、遠方から訪れた私たちにとっても馴染み深いものでした。


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